ケープタウンの家を出てから、はや一週間。

 

思いがけず、普段の生活よりも贅沢な日々を送っています。

 

 

というのも、南アフリカの友人の、そのまた友人の両親が、私たちが通過する郊外の小さな街々に
住んでいるということで、友人伝いに連絡先を教えてもらい、寝床(ふかふかのベッド!)から、
食事から、ビールまで、ありがたくお世話になっちゃってます。

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優雅な朝食♬

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Wellingtonという街でお世話になったアナリーンは、代々引き継がれるワインファームを経営している。

 

日頃はあまり食べないお肉(しかも分厚いステーキ)と、自家製ワインを昼夜問わずごちそうになるという、
ある意味非日常な2日間。

アナリーンは、まるで自分の子供かのように私たちを温かく迎えてくれた。

 

 

 

もうすぐ50歳になるという彼女には、成人した2人の娘がいて、離婚後長年付き合いのあるボーイフレンドがいる。

それに加えて、美しい山に囲まれたプール付きの大きな家と、のんびり経営するワインファーム。

 

彼女の飛び抜けた明るさと優しさは、その満ち足りた生活を反映しているかのようだった。

 

 

しかし、ワインを片手に色々と話しているうちに、彼女は少しずつ自分の心の内を話し始めた。

ボーイフレンドとはもう縁を切りたいこと。自分が楽しめることを出来ていないこと。

 

ほぼ初対面の相手に話す内容ではないようなことを、彼女は自然と私たちに話した。
いや、通りすがりの何の接点もない私たちだからこそ、本心を赤裸々に話せたのかもしれない。

私たちはそんな彼女の話を、すんなり受け入れることができた。

 

そして彼女に、エリオットはこう言った。

「Don’t wait to life to happen. (人生で何かが起こるのを、待ってちゃいけないよ)」

 

彼女にとってその言葉はしっくりときたようで、携帯に一語一句そのままメモをし、
そのあと神妙な面持ちでボーイフレンド宛てのメールを打っていた。

 

 

 

 

翌朝早くに出発する予定が、アナリーンにもてなされ尽くしているうちにお昼近い時間になってしまっていた。

 

よし、じゃあそろそろ出発しようかー、、と自転車に跨がろうとしたとき、アナリーンはグラスいっぱいに
注がれたシャンパンのグラスを持ってきた。

 

断ることを知らない私たちは、なるようになれ!の勢いで一気に飲み干した。

まさか、ほろ酔い気分で自転車を漕ぐとは思ってもいなかった。

 

 

だけどそのシャンパンは、私たちとアナリーンの新たな日のスタートを、祝福していたにちがいない。

アナリーンが、これからさらに明るく輝けますように!

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シャンペンとサイクリストと番犬

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日は自転車を漕ぎ出して、はじめての山道だった。

 

早歩きくらいのトロトロスピードだけど、何とか止まらず峠を越え、予想よりもラクに山の頂上にある
キャンプサイトに到着した。

 

通常は予約しないといけないキャンプサイトだったが、私たちの事情を話すと、
祝日料金だった3500円(2人分)のところを、800円の入場料のみで泊まらせてくれた。
この心遣いは、本当にありがたい!

 

 

 

翌日はCeresという山に囲まれた小さな街に着き、またもや友人の友人の両親にお世話になった。

 

このお家もまた、日本では考えられないほどの大きなおうち(廊下を走れるくらい)を二軒持っていて、
そのうちの一軒まるごとを自由に使わせてくれた。

 

この一家は息子とお父さんが熱心なサイクリストということで、家にはマウンテンバイクルームがふた部屋あり、
10台以上の自転車コレクションを見せてくれた。

 

 

チャリはチャリでも、本当にいろいろあるもんだ。私たちのチャリとは比べものにならないほど軽いチャリたち。

そして、私たちは「サイクリスト」ではないなぁ~と改めて感じた。
私たちにとって自転車は今のところ、大事な旅のパートナーだ。

 

 

 

このお家のお父さんと息子は、個人経営でダムを建設している。

そのため、翌日は巨大ローリーで私たちが走るルートの途中まで行くから、乗っていくか?と聞いてくれた。

 

私とエリオットは、思わずお互い顔を見合わせた。

すでに何度か、車に乗っていくか?と声をかけてもらうことはあったのだが、
なんだかラクしているような、ズルしているような後ろめたさで断ってきた。

 

だけど、巨大ローリーに乗れる機会なんて、次いつ訪れるだろう。。?

 

 

結果、好奇心のほうが勝り、10kmほど乗せてもらいました。ごめんなさい。

ローリーの巨大な荷台に私たちのチャリが二台だけポツンと乗せられてる様子はなんだか可笑しかった。

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巨大ローリーとチャリと私

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初めて会う方々にお世話になる旅は、まだ続きます。

 

 

この日向かったのは、先日お世話になったお母さんの弟さんが経営する農場だ。

 

テントを張らせてもらえるだけで、本当にありがたいと言ったのだが、当たり前のように食事とベッドを用意して、「Welcome to our house!!」と明るく迎えてくれた。

 

 

この夫婦は、500ヘクタール(5km四方)の巨大農場を経営している。

育てている作物は、主に玉ねぎ、じゃがいも、りんごで、シーズンになると900人もの人々雇って収穫するという。

 

 

こういった大規模な農場と聞くと、化学肥料を使用し、商業的により多くの質のいい作物を生産している印象があった。そしてその経営者というと、ちょっととっつき難いようなドライなイメージを勝手に持っていた。

 

しかし、私たちを迎えてくれた、農場全体をマネージメントしているリアンは、そんな私たちのイメージとは
まったく違い、とてもフレンドリーで視野の広い人だった。

 

 

作物の育て方も、彼の農場を含む西ケープ州の農場のほとんどが、化学肥料をできるかぎり使用しない
サスティナブル(持続可能な)生産方法に転換していってるという。

 

そして、殺虫剤を使用したり、柵をつけたりして過剰に作物を保護している農場の方が、虫食い被害が
多くなることがあるという話を聞いた。

彼が思うに、虫を人為的に取り除こうとすることで自然のサイクルが崩れ、逆に別の種の虫が大量発生したり、
食べていた虫がいなくなって仕方なく作物を食べるようになるんじゃないかと言う。

 

 

自然農に興味を持っている私たちにとっては、長年実際に様々な方法を試し、作物をいつも近くで見ている
彼の話はとても興味深かった。

 

農場から見える景色
農場から見える景色

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作物の生産方法は本当に千差万別で、毎年気候条件によってもやり方が異なるため、
一筋縄ではいかないのは想像がつく。

 

 

しかし常に300人もの人を雇う大規模農場となると、雇用者とのコミュニケーションもとても重要になってくる。

アフリカの大規模農場の経営者のほとんどが白人で、雇用者のほとんどが黒人、(南アフリカだとカラードを含む)
といっていいだろう。

 

 

例えば、「朝起きて、支度をして、時間通りに仕事へいく。」というような私たちにとって本当にごく当たり前の
習慣が、彼らにとっては当たり前でなかったりするため、その大きな文化の溝を埋めるには、地道な日々のコミュ
ニケーションや、彼らが満足する生活環境を提供することが大切だとリアンはいう。

 

そしてここ数年前から雇用者に、より仕事に誇りを持って、農業の知識を得てもらうために、
農園の一部を彼らに所有させることを始めているという。

 

 

 

リアンとエリカ(リアンの奥さん)の家は、農場の間を2kmほど走った先にポツリとある。

 

その道を自転車で駆け抜ける途中ですれ違った彼らの農場で働く人々は、
みんな穏やかな笑顔で私たちに声をかけてくれてた。

 

この笑顔は間違いなく、リアンの人柄と努力のおかげなのだろう。

リアン、エリカ、ありがとう!!
リアン、エリカ、ありがとう!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人との出会いは、旅の楽しみの醍醐味の1つだ。

 

ゲストハウスやキャンプサイトで旅人と出会ったり、移動中に偶然となりになった人と仲良くなったり、
出会い方は多種多様ある。

 

また、何かの縁があって、ある人のお家に泊めてもらうと、たとえ一泊であってもその人の人柄を
一度に深く感じることができる。

 

そして、彼らの日常の生活に入り込んだような、不思議な感覚になるのだった。

 

 

この旅では、できるだけたくさんの人の日常の一部を覗いて、共有してみたい。

そうして自分の日常を振り返ってみると、何か違ってみえるかもしれない。

 

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